英語を訳するときに「てにをは辞典」がどう役立つのか実際例で説明したいと思います。例えば次のような文があったとします。
I gave hima warning, to which he turned a deaf ear.
ここでdeaf earって何だろうと思って英和辞書を調べると
- deaf 形: ⦅略式⦆〔忠告・嘆願などを〕聞こうとしない, 〔…に〕耳を傾けない, 無頓着な〔to〕
- turn 動:〈心・注意・会話などが〉…に向く, 傾く
と書いてあります。そこで次のような直訳を思いつきます
直訳)忠告したが、彼はそれを聞こうとしない耳を傾けた
となってしまい、困った事になるわけです。否定のニュアンスが強いdeaf ear「聞こうとしない名詞」がturn「注意を向ける」の意味を否定的に変えているところまでは分かります。問題は耳をどうしたと訳したら綺麗な訳になるかです。そこで「てにをは辞典」で耳を調べてみるとずらっと耳に続く言葉が並んでいて、「を」のところを見ると「貸さない」と書いてある。
そこで自然な日本語の訳が思いつきます。
再度訳)忠告したが、彼は耳を貸さなかった。
となるわけです。
私もまだ使い始めたばかりで十分活用できていないのですが、実は英英辞書でニュアンスから適切な訳を考えたり、英辞郎みたいに大量の例文があるオンライン辞書で適当な訳を探し回るより、訳が困っている部分の「てにをは」を考えてこの辞書を引いてしまったほうが早かったりするかもしれません。英辞郎は辞書ではなく例文をただ集めただけの例文集でしかないと否定的な翻訳家の言葉もどこかのブログで目にした記憶もあります。紙の辞書しかないのが残念ですが、明解国語辞典ぐらいの地位な辞書にまとまっており、机にいつもおいておいて引くのに凄く大変というわけでもないので、これから活用していきたいと思っています。多分、電子化する程までに売れていないし、使い方の分からない人が多いのだと思います。私はAmazonの中古品ではなく、書店で定価で買いました。ちょっとした応援のつもりです。こういう文を書く人にとても役立つ書籍がこれからも出版が続くように、みなさんも綺麗な文を書くために一度ためしてみてはいかがですか。